飲食店の創業では、「月にいくら売りたいか」だけでは不十分です。メニューごとの原価率、客単価、席数、回転率、営業日数を見ないと、売上があっても利益が残らないことがあります。
創業前にメニュー価格と採算ラインを確認すると、安売りしすぎ、原価をかけすぎ、席数に対して家賃が高すぎるといった問題に早く気づけます。
このページでわかること
- 飲食店で原価率と客単価を見る理由
- メニューごとの利益を確認する方法
- 席数、回転率、営業日数から売上を計算する方法
- 採算が合わないときの見直し方
飲食店は売上より粗利益を見る
飲食店では、売上が大きくても、材料費やロスが大きいと利益が残りません。
まず見るのは、売上から食材原価を引いた粗利益です。粗利益で家賃、人件費、水道光熱費、広告費、借入返済などをまかないます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売上 | お客さんから受け取る金額 |
| 食材原価 | 食材、調味料、容器など |
| 原価率 | 売上に対する原価の割合 |
| 粗利益 | 売上から原価を引いた金額 |
| 固定費 | 家賃、人件費、通信費、保険料など |
原価率は業態やメニューで変わります。一般論だけで決めず、自分のメニューごとに計算します。
メニューごとに原価を出す
創業前に、主力メニューごとの原価を出します。
1皿、1杯、1セットあたりに使う食材、調味料、容器、包装、ロスを入れて考えます。
| メニュー | 販売価格 | 原価 | 原価率 | 1品あたり粗利益 |
|---|---|---|---|---|
| ランチA | 1,200円 | 420円 | 35% | 780円 |
| ドリンク | 500円 | 120円 | 24% | 380円 |
| デザート | 650円 | 220円 | 34% | 430円 |
原価率だけで判断すると、売れ筋や提供時間を見落とします。粗利益が高くても、手間がかかりすぎるメニューは回転率に影響することがあります。
客単価は注文の組み合わせで考える
客単価は、1人あたりの平均購入額です。
メニュー単品の価格だけでなく、セット、ドリンク、追加注文、テイクアウト、夜営業などの組み合わせで変わります。
| 客単価を上げる要素 | 例 |
|---|---|
| セット化 | ランチ + ドリンク |
| 追加注文 | デザート、トッピング |
| 時間帯 | 昼と夜で価格帯を変える |
| 客層 | 仕事ランチ、家族利用、観光客 |
| 体験価値 | 雰囲気、接客、限定メニュー |
客単価を上げるとは、無理に高く売ることではありません。お客さんが納得して追加したくなる価値を作ることです。
席数と回転率で売上上限を見る
飲食店の売上には、席数や営業時間による上限があります。
客単価が高くても、席数が少なく回転しなければ売上は伸びにくくなります。逆に回転を上げすぎると、接客や品質が落ちることもあります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 席数 | 12席 |
| 客単価 | 1,200円 |
| 1日回転数 | 2.5回 |
| 営業日数 | 25日 |
| 月売上 | 12席 × 1,200円 × 2.5回 × 25日 = 90万円 |
この計算から、原価、人件費、家賃、広告費を引きます。売上だけでなく、手元に残るお金まで見ます。
ロスとまかないも見落とさない
飲食店では、食材ロス、試作、まかない、廃棄、仕込み過多も原価に影響します。
創業直後は需要が読みにくく、仕込みすぎや売れ残りが起こりやすくなります。
| 見落としやすい原価 | 内容 |
|---|---|
| 食材ロス | 廃棄、期限切れ、仕込みすぎ |
| 試作 | メニュー改善のための材料 |
| まかない | スタッフ食、試食 |
| 容器・包装 | テイクアウト、デリバリー |
| 決済手数料 | キャッシュレス決済 |
原価率を低く見積もると、開業後に利益が想定より残らなくなります。最初は少し厳しめに見ておくほうが安全です。
採算が合わないときはメニューと固定費を見直す
計算して採算が合わない場合は、売上目標を無理に上げる前に、メニューと固定費を見直します。
| 問題 | 見直し方 |
|---|---|
| 原価率が高い | 仕入れ、分量、メニュー構成を見直す |
| 客単価が低い | セット、追加注文、価値説明を考える |
| 回転率が低い | 提供時間、席配置、予約を見直す |
| 家賃が高い | 物件、営業時間、売上上限を見直す |
| 人件費が重い | オペレーション、セルフ化、役割分担 |
安易に値下げで集客すると、売れるほど苦しくなることがあります。創業前に採算ラインを確認します。
まず主力メニュー3つの原価表を作る
今日やることは、主力メニュー3つの原価表を作ることです。
販売価格、材料費、容器代、ロス見込み、1品あたり粗利益を書き出します。そのうえで、席数と回転率から月売上を計算し、家賃や人件費を引いて採算を見ます。
飲食店は、想いと数字の両方が必要です。人気店を観察し、自分のメニューを数字で確認し、創業前に直せるところを直しましょう。
公式情報・参考リンク
以下のリンクは、2026年7月4日に確認したものです。公開前には最新の内容を再確認してください。