創業準備ガイド
資金・収支を考える

開業資金で見落としやすい費用と見積もり方

開業資金は、内装や設備だけでなく、保証金、保険料、備品、広告費、予備費なども見込む必要があります。後から慌てないための費用の洗い出し方を整理します。

開業資金見積もり予備費運転資金

開業資金を見積もるときは、目立つ費用だけでなく、細かい費用や開業後すぐに出ていく費用まで確認する必要があります。内装や設備は見積もりやすい一方で、保証金、保険料、備品、広告費、予備費などは後から発覚しやすい費用です。

開業直前に「思ったよりお金が足りない」となると、必要な準備を削ったり、無理な借入をしたりすることがあります。この記事では、開業資金で見落としやすい費用と、見積もりの精度を上げる方法を整理します。

このページでわかること

  • 開業資金で見落としやすい費用
  • 設備資金と運転資金を分けて見積もる方法
  • 複数見積もりと予備費の考え方
  • 創業計画書に書ける根拠を作る方法

目立つ費用だけでは資金計画は足りない

開業資金というと、店舗内装、設備、機械、車両、仕入れなど、大きな費用に目が向きます。

もちろん、大きな費用は重要です。しかし、実際には細かい支出が積み重なって資金を圧迫します。

たとえば、次のような費用です。

見落としやすい費用内容例
物件関連保証金、礼金、仲介手数料、前家賃、鍵交換
保険・契約火災保険、賠償責任保険、契約書作成費
備品レジ周辺、清掃用品、文具、収納、消耗品
IT・Webドメイン、サーバー、予約システム、会計ソフト
広告宣伝チラシ、看板、写真撮影、SNS広告、Web制作
決済キャッシュレス端末、決済手数料、初期設定費
予備費追加工事、買い足し、売上不足への備え

1つひとつは小さく見えても、合計すると大きな金額になります。

資金計画では、「大きな費用を見積もったから大丈夫」と考えず、細かい費用まで洗い出します。

設備資金と運転資金を分ける

開業資金は、設備資金と運転資金に分けて考えます。

設備資金は、開業時に必要な設備や工事にかかる資金です。運転資金は、開業後に事業を回すための資金です。

区分内容
設備資金開業時に準備する設備や物件関連の支出内装、機械、車両、什器、看板、レジ
運転資金売上が安定するまで事業を続ける支出仕入れ、人件費、家賃、広告費、水道光熱費
予備資金想定外に備える資金追加工事、売上不足、入金遅れ

設備資金ばかりにお金を使いすぎると、開業後の運転資金が不足します。

「きれいな店舗はできたが、広告費や仕入れ、人件費に回す資金がない」という状態は避けなければなりません。

資金計画の基本は 資金計画 と合わせて確認します。

見積もりは複数取り、内訳を見る

設備や内装の費用は、できるだけ複数の見積もりを取ります。

金額を比べるだけでなく、内訳を見ることが大切です。

見ること確認する理由
工事項目何にいくらかかるかを把握する
含まれるもの設置、配送、処分、設定費が含まれるか
含まれないもの追加費用になりそうな項目を把握する
納期開業日に間に合うか
保証故障時や不具合時の対応
支払い条件前払い、分割、納品後払い

内装工事では、「一式」と書かれた見積もりだけでは、あとで費用の妥当性や税務処理を確認しにくくなります。

見積もりの段階で、できるだけ工事項目や設備の内訳を分けてもらいます。減価償却の扱いを確認する場合も、内訳があるほうが相談しやすくなります。詳しくは 減価償却 とつなげて確認します。

開業前後の広告費を忘れない

開業資金では、広告宣伝費を見落としやすくなります。

店舗や商品を準備しても、お客さんに知られなければ売上にはつながりません。開業前後には、告知や集客のための費用が必要になることがあります。

広告宣伝費内容例
チラシ・ポスターデザイン、印刷、配布
看板・店頭ツール外看板、のぼり、店内POP
ホームページ制作、写真撮影、ドメイン、サーバー
SNS・Web広告広告費、画像制作、LP制作
Googleビジネスプロフィール写真、投稿、口コミ対応の準備
プレオープン招待、試食、体験会、アンケート

広告費は、かければ売れるものではありません。しかし、まったく見込まないのも危険です。

開業前からどの方法で知ってもらうかを考え、予算を入れておきます。

保険・手数料・システム費も確認する

小さな固定費や手数料も、積み重なると資金繰りに影響します。

開業前には、次のような費用も確認します。

費用確認すること
保険料火災保険、賠償責任保険、業種特有の保険
決済手数料クレジット、QR決済、EC決済の手数料
システム利用料予約、会計、POS、顧客管理、メール配信
専門家費用税理士、社労士、行政書士、司法書士
通信費インターネット、電話、Wi-Fi、端末
消耗品包装、清掃、事務用品、衛生用品

月額の小さな費用は軽く見られがちですが、固定費になります。

一度契約するとやめにくいサービスもあるため、開業時に必要なものと、売上が立ってから導入するものを分けます。

予備費を資金計画に入れる

創業前の見積もりは、どうしても抜け漏れが出ます。

追加工事、備品の買い足し、仕入れの増加、広告の追加、開業直後の売上不足など、想定外の支出は起こり得ます。

そのため、資金計画には予備費を入れます。

予備費が必要な場面
工事・設備追加工事、配線、修理、設置変更
備品開業直前に必要とわかる小物
集客追加チラシ、広告テスト、写真撮影
運転資金売上が安定するまでの家賃や仕入れ
生活生活費の不足、家計の予期せぬ支出

予備費は、余ったら使うお金ではありません。事業を守るための余白です。

資金に余裕がない場合は、初期投資を見直す、開業時期を調整する、スモールスタートを検討するなど、計画の組み替えも必要です。

まず費用を3つに色分けする

今日やることは、完璧な資金計画を作ることではありません。

まず、開業に必要な費用を次の3つに分けてください。

区分内容
必須開業に必ず必要なもの
開業後でもよい売上が立ってから導入できるもの
迷っている見積もりや代替案を確認するもの

この3つに分けると、初期投資を抑えやすくなります。

開業資金は、理想を全部そろえるための予算ではありません。事業を始め、続け、改善するための資金です。

設備資金と運転資金の分け方は 資金計画、設備や備品の経費処理は 減価償却 で確認してください。