創業時の借入は、希望額だけで決めると危険です。設備や内装を理想どおりにそろえたくなりますが、毎月の返済が重くなると、開業後の選択肢が狭くなります。
大切なのは、借りられる金額ではなく、返せる金額から考えることです。この記事では、毎月返済額、利益、生活費、税金、資金繰りを入れて、借りすぎを防ぐためのシミュレーション方法を整理します。
このページでわかること
- 借入額を返済可能額から考える理由
- 毎月返済額を収支計画に入れる方法
- 据置期間後に注意するポイント
- 借入前に作る3パターン試算
借りられる金額と返せる金額は違う
借入相談では、希望額を聞かれることがあります。
しかし、希望額がそのまま事業にとって適正な金額とは限りません。借入は返済が必要なお金です。開業後に売上が想定より低い月でも返済できるかを見ます。
| 見る視点 | 内容 |
|---|---|
| 借りられる金額 | 審査や制度上、可能性がある金額 |
| 借りたい金額 | 創業者が希望する金額 |
| 返せる金額 | 利益と資金繰りから無理なく返済できる金額 |
創業時は、設備にお金をかけたくなります。ですが、返済が重すぎると、広告、仕入れ、改善、生活費に使える資金が減ります。
毎月返済額を利益の後に入れる
収支計画では、売上から原価と経費を引いて利益を見ます。
ここで注意したいのは、借入金の返済元金は経費ではないことです。会計上は経費に入らなくても、実際には現金が出ていきます。
| 項目 | 見方 |
|---|---|
| 売上 | 商品・サービスの売上 |
| 原価 | 仕入、材料、外注など |
| 経費 | 家賃、人件費、広告費、支払利息など |
| 利益 | 売上 - 原価 - 経費 |
| 返済元金 | 経費ではないが現金は減る |
| 生活費 | 個人事業主の場合は特に確認 |
| 手元資金 | 利益 - 返済元金 - 生活費など |
利益が出ていても、返済と生活費を引いた後に資金が残らなければ、経営は苦しくなります。
据置期間後の負担を忘れない
創業融資では、一定期間、元金返済を据え置ける場合があります。
据置期間は、売上が立ち上がるまでの資金繰りを助けることがあります。ただし、据置期間が終わると元金返済が始まります。最初の数か月だけ楽に見えても、その後の返済負担を見落としてはいけません。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 据置期間中 | 利息支払い、売上立ち上げ、運転資金 |
| 据置期間終了後 | 元金返済が始まる月の資金繰り |
| 1年後 | 税金、社会保険、追加投資との重なり |
| 売上不調時 | 低めの売上でも返済できるか |
据置期間は返済が消える期間ではありません。後で返す前提で資金繰り表に入れます。
3パターンで返済を試算する
借入額を決める前に、低め、標準、順調の3パターンで試算します。
売上が低い場合でも、返済後に手元資金が残るかを見ることが大切です。
| パターン | 月売上 | 利益 | 返済額 | 生活費 | 手元に残る目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 低め | 70万円 | 15万円 | 6万円 | 12万円 | -3万円 |
| 標準 | 100万円 | 30万円 | 6万円 | 12万円 | 12万円 |
| 順調 | 130万円 | 45万円 | 6万円 | 12万円 | 27万円 |
低めのケースで赤字になるなら、借入額、返済期間、固定費、生活費、開業規模を見直します。
借入額を下げる方法も考える
返済額が重い場合は、借入額を増やす前に、必要資金を下げる方法を考えます。
| 見直す項目 | 具体策 |
|---|---|
| 設備投資 | 中古、リース、後回し |
| 物件 | 家賃を下げる、小さく始める |
| 内装 | 必須工事と後回し工事を分ける |
| 初期在庫 | 最初から持ちすぎない |
| 広告費 | 小さくテストして反応を見る |
借入を減らすことは、弱気ではありません。創業初期の余白を残すための経営判断です。
金利や返済条件は公式情報と金融機関で確認する
毎月返済額は、借入額、金利、返済期間、据置期間で変わります。
日本政策金融公庫の金利情報や各金融機関の条件は、時期によって変わります。制度名、利率、返済期間、担保・保証人、必要書類は、申込時点で確認します。
| 確認先 | 確認すること |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 制度、利率、返済期間、必要書類 |
| 金融機関 | 取扱制度、審査、返済条件 |
| 自治体 | 制度融資、利子補給、保証料補助 |
| 税理士・診断士 | 収支計画、返済可能性 |
シミュレーションは目安です。実際の融資条件は、必ず相談先で確認します。
まず低めの売上で返済できるかを見る
今日やることは、低めの売上で返済できるかを試算することです。
標準ケースではなく、開業直後に予約や来店が少ない月を想定します。その数字で、利益、返済、生活費、税金を引いても資金が残るかを見ます。
創業時の借入は、勢いだけで決めないこと。返済後に事業を続けられる金額かどうかを、自分の数字で確認しましょう。
公式情報・参考リンク
以下のリンクは、2026年7月4日に確認したものです。公開前には最新の内容を再確認してください。