まずは「何を決めたい相談なのか」を分けます。そのうえで、自治体、商工会議所、商工会、よろず支援拠点、金融機関、日本政策金融公庫、信用保証協会、専門家、行政窓口を使い分けます。
このページでは、「創業時の資金調達の選択肢」と「創業融資と制度融資の比べ方」で整理した資金調達の考え方を受けて、創業者が目的に合う相談窓口を選べるように整理します。
相談窓口によって、対象地域、対象者、無料で相談できる範囲、予約方法、専門家につないでもらえる範囲は異なります。このページでは選び方の入口を整理し、実際に相談する前には各窓口の公式情報で最新の対象者、予約方法、持参資料を確認します。
このページでわかること
- 相談したい内容ごとの窓口の選び方
- 創業全体・融資・補助金・税務労務・許認可の相談先
- 専門家に相談する前に準備するメモ
- 相談後に創業計画を見直す方法
まず相談したい内容を分ける
相談窓口を探す前に、相談内容を次のように分けます。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 創業準備の進め方を知りたい | 自治体、商工会議所、商工会、よろず支援拠点 |
| 創業計画書を見直したい | 商工会議所、商工会、よろず支援拠点、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関 |
| 融資・資金調達を相談したい | 日本政策金融公庫、金融機関、信用保証協会、自治体、商工会議所、商工会 |
| 補助金・助成金を確認したい | 自治体、商工会議所、商工会、ミラサポplus、認定経営革新等支援機関 |
| 税務・会計を相談したい | 税務署、税理士、商工会議所、商工会 |
| 法人設立を相談したい | 法務局、司法書士、行政書士、税理士 |
| 雇用・労務を相談したい | 労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、社会保険労務士 |
| 許認可を確認したい | 保健所、警察署、都道府県・市区町村の所管窓口、行政書士 |
相談先は、1回で正解を決めるものではありません。最初は無料相談で全体像をつかみ、専門的な判断が必要になったら専門家や所管行政窓口に進むと、迷いにくくなります。
創業全体を相談したいとき
何から始めればよいかわからない段階では、創業者向けの総合相談窓口を使います。
J-Net21では、公的支援機関の代表的な相談窓口として、よろず支援拠点、各地の商工会・商工会議所、日本政策金融公庫、中小企業基盤整備機構などを紹介しています。創業初期は、こうした公的な入口から相談すると、次に確認すべき制度や窓口を整理しやすくなります。
| 相談先 | 向いている相談 |
|---|---|
| 自治体の創業支援窓口 | 地域の創業支援、創業セミナー、制度融資、補助制度 |
| 商工会議所 | 創業、資金調達、PR、集客、事業計画、地域での経営相談 |
| 商工会 | 地域の小規模事業者向けの経営相談、税務、金融、労務、販路開拓 |
| よろず支援拠点 | 売上拡大、経営改善、販路、広報、IT、創業計画など幅広い相談 |
| 中小企業基盤整備機構 | 経営課題に応じた支援メニュー、起業支援情報、専門的な相談 |
創業全体の相談では、「アイデアが固まっていない」「資金の見通しがない」「制度が多すぎてわからない」という状態でも相談できます。ただし、事業概要、創業予定地、創業予定時期、困っていることをメモしておくと、相談の密度が上がります。
商工会議所・商工会は地域の相談先として使う
商工会議所と商工会は、地域で事業を始める人にとって身近な相談先です。どちらが管轄になるかは、創業予定地の地域によって異なります。
日本商工会議所は、全国の商工会議所で経営相談に対応し、創業、資金調達、PR、集客などの課題解決を支援すると案内しています。商工会議所によって支援内容は異なるため、事業活動を行う地域の商工会議所を確認します。
全国商工会連合会は、商工会で経営指導員などが経営相談・支援を行い、税務、金融、取引・販路開拓、労務などの相談にも対応すると案内しています。支援サービスは商工会ごとに異なる場合があります。
| 確認すること | 商工会議所・商工会で聞くこと |
|---|---|
| 管轄 | 自分の創業予定地がどの窓口の対象か |
| 創業相談 | 創業前でも相談できるか |
| 事業計画 | 創業計画書や事業計画書の相談ができるか |
| 資金調達 | 制度融資、マル経融資、補助金などの案内があるか |
| セミナー | 創業塾、創業セミナー、個別相談会があるか |
| 専門家相談 | 税理士、社労士、弁護士、中小企業診断士などにつなげてもらえるか |
地域で店舗を構える、地域の金融機関と関係を作る、補助金や制度融資も含めて確認する場合は、早めに地域の商工会議所・商工会を確認します。
よろず支援拠点は経営課題を幅広く相談する
よろず支援拠点は、国が設置する無料の経営相談所です。創業予定の方、中小企業・小規模事業者などを対象に、幅広い経営相談に対応しています。
よろず支援拠点は、融資の申込窓口そのものではありません。売上の作り方、商品・サービスの見せ方、集客、IT、広報、事業計画の整理など、経営面の課題を相談する場として使いやすい窓口です。
| 向いている相談 | 相談前に用意するとよいもの |
|---|---|
| 事業アイデアを整理したい | 誰に何を売るかのメモ |
| 売上の作り方を相談したい | 客単価、客数、販売方法の仮説 |
| 集客方法を相談したい | SNS、Web、チラシ、紹介などの現状 |
| 事業計画を見直したい | 創業計画書、資金計画、収支計画 |
| 補助金の活用可能性を聞きたい | やりたい取組、見積、実施時期 |
相談内容がまだぼんやりしている場合でも、「いま困っていること」を言葉にして持っていくと、次の行動に落とし込みやすくなります。
融資・資金調達を相談したいとき
融資や資金調達を相談するときは、制度名よりも、資金使途、必要額、自己資金、売上根拠、返済可能性を説明できることが重要です。
「創業融資と制度融資の比べ方」では、日本政策金融公庫、民間金融機関、信用保証協会付き融資、自治体制度融資を比較しました。このページでは、その相談先を目的別に整理します。
| 相談したいこと | 主な相談先 | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 創業融資の概要を知りたい | 日本政策金融公庫、金融機関、商工会議所、商工会 | 事業概要、必要資金、自己資金 |
| 制度融資を確認したい | 自治体、金融機関、信用保証協会 | 創業予定地、事業内容、資金使途 |
| 保証協会付き融資を確認したい | 金融機関、信用保証協会 | 資金計画、収支計画、借入希望額 |
| 事業計画書を整えたい | 商工会議所、商工会、よろず支援拠点、認定支援機関 | 創業計画書、売上根拠 |
| 融資申込前の書類を確認したい | 申込先の金融機関、日本政策金融公庫 | 創業計画書、見積書、許認可メモ |
日本政策金融公庫は、創業予定者向けに来店・オンライン相談やビジネスサポートプラザなどの相談導線を案内しています。金融機関や自治体制度融資を検討する場合も、申込先と制度運営主体が分かれることがあるため、どこから相談を始めるかを確認します。
補助金・助成金を確認したいとき
補助金や助成金は、返済不要に見えるため魅力的に感じやすい制度です。ただし、目的、対象経費、補助率、申請期間、採択後の手続き、自己負担、入金時期を確認する必要があります。
ミラサポplusは、中小企業向けの補助金・支援ポータルとして、地域の補助金・助成金、公募スケジュール、人気の補助金などを掲載しています。補助金は募集時期や要件が変わるため、最新情報を公式ページで確認します。
| 確認すること | 相談先 |
|---|---|
| 自分に合う補助金があるか | ミラサポplus、自治体、商工会議所、商工会 |
| 創業者向けの補助制度があるか | 自治体、商工会議所、商工会 |
| 申請書の書き方を確認したい | 商工会議所、商工会、認定経営革新等支援機関 |
| 事業計画の妥当性を見たい | よろず支援拠点、中小企業診断士 |
| 税務処理や会計処理を確認したい | 税理士、税務署 |
補助金は、採択される前提で資金繰りを組むと危険です。創業時は、採択されなかった場合、入金が遅れた場合、対象外経費が出た場合も想定して資金計画を作ります。
税務・法人設立・労務を相談したいとき
税務、法人設立、労務は、一般的な創業相談だけでは判断しきれないことがあります。届出先や専門家を分けて考えます。
| 相談内容 | 主な相談先 | 確認すること |
|---|---|---|
| 個人事業の開業届 | 税務署、税理士 | 提出方法、提出先、青色申告、消費税、源泉所得税 |
| 法人設立登記 | 法務局、司法書士 | 会社形態、定款、登記申請、登録免許税、登記完了予定 |
| 許認可を伴う法人設立 | 行政書士、所管行政窓口 | 設立前に必要な要件、事業目的、営業許可 |
| 従業員を雇う | 労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、社会保険労務士 | 労働保険、雇用保険、社会保険、労働条件通知 |
| 会計・記帳を整える | 税理士、商工会議所、商工会 | 勘定科目、帳簿、請求書、インボイス、決算 |
国税庁は、個人事業の開業届出について、新たに事業を開始したときなどの手続きとして案内しています。法務局は、商業・法人登記の申請方法や申請書様式を案内しています。従業員を雇う場合は、労働基準、雇用保険、社会保険の手続きが関係します。
専門家に依頼するか自分で進めるかは、費用だけでなく、間違えたときの影響、時間、許認可との関係、将来の融資や補助金申請への影響も含めて考えます。
許認可を確認したいとき
飲食、理美容、建設、古物、酒類販売、旅行、医療・福祉、運送、人材紹介など、事業によっては許認可や届出が必要です。
許認可は、創業相談窓口で概要を聞けても、最終確認は所管行政窓口で行います。物件契約や内装工事の前に確認しないと、開業予定日が遅れたり、予定していた営業ができなくなったりすることがあります。
| 業種・内容 | 主な確認先 |
|---|---|
| 飲食店、食品製造、理美容など | 保健所 |
| 古物営業、警備業、風俗営業など | 警察署 |
| 建設業、宅地建物取引業など | 都道府県などの所管窓口 |
| 酒類販売 | 税務署 |
| 介護、障害福祉、医療関連 | 都道府県、市区町村、保健所など |
| 労働者派遣、有料職業紹介 | 労働局 |
許認可を確認するときは、「業種名」だけでなく、具体的な提供内容、場所、設備、人員、営業時間、販売方法を伝えます。同じ業種に見えても、営業形態によって必要な手続きが変わることがあります。
専門家に相談する前に準備する
専門家に相談するときは、質問を広げすぎないことが大切です。相談時間には限りがあるため、「今日判断したいこと」を決めてから相談します。
| 専門家 | 向いている相談 | 事前に準備するもの |
|---|---|---|
| 税理士 | 税務、会計、記帳、消費税、インボイス、資金繰り | 売上見込み、経費、開業日、取引内容 |
| 司法書士 | 会社設立登記、役員変更、商業登記 | 会社形態、商号、本店、役員、資本金 |
| 行政書士 | 許認可、行政手続き、定款作成支援 | 業種、営業場所、設備、必要な許可 |
| 社会保険労務士 | 雇用、労働保険、社会保険、就業規則 | 採用予定、雇用形態、賃金、労働時間 |
| 中小企業診断士 | 事業計画、経営戦略、販路、補助金計画 | 事業概要、顧客、競合、収支計画 |
| 弁護士 | 契約、トラブル予防、共同創業、知的財産の権利関係 | 契約書案、共同創業者との条件、懸念点 |
認定経営革新等支援機関は、税務、金融、企業財務などに関する専門的知識や実務経験を持つ支援機関として国が認定する制度です。補助金や事業計画で認定支援機関の関与が必要になる場合もあるため、必要に応じて検索システムで確認します。
相談前に伝える内容を1枚にまとめる
相談前には、相手が状況を把握しやすいように、次の内容を1枚にまとめます。
| 項目 | メモ |
|---|---|
| 事業名・屋号 | |
| 事業内容 | |
| 創業予定地 | |
| 創業予定日 | |
| 個人事業主・法人の予定 | |
| 現在決まっていること | |
| まだ迷っていること | |
| 必要資金 | |
| 自己資金 | |
| 借入希望の有無 | |
| 許認可の要否 | |
| 雇用予定 | |
| 今日相談したいこと3つ | |
| 相談後に決めたいこと |
相談の質は、相談先だけで決まるわけではありません。こちらが何を決めたいかを整理しておくほど、相手から具体的な助言を受けやすくなります。
相談後に創業計画を見直す
相談を受けたら、聞いた内容を創業計画に反映します。相談メモを残すだけで終わると、次の相談でも同じ話を繰り返しやすくなります。
| 相談で出た内容 | 見直すページ |
|---|---|
| 創業動機や経験をもっと具体化する | 経営者になる準備 |
| 商品・サービスの対象顧客を絞る | アイデアの整理 |
| セールスポイントや競合比較を直す | 経営戦略 |
| 集客方法を具体化する | マーケティング |
| 収益の仕組みを見直す | ビジネスモデル |
| 必要資金の根拠を追加する | 資金計画 |
| 収支計画や返済可能性を見直す | 収支計画 |
| 売上予測の根拠を足す | 売上高の計算方法 |
| 個人事業主か法人かを再検討する | 個人事業主と法人の違い |
| 許認可と届出を確認する | 許認可手続、創業に伴う届出 |
| 資金調達の選択肢を見直す | 創業時の資金調達の選択肢、創業融資と制度融資の比べ方 |
相談後は、24時間以内に「直すこと」「調べること」「次に相談すること」を3つに分けます。計画を更新してから次の相談に進むと、創業準備が積み上がります。
よくあるつまずき
よくあるつまずきは、相談先を1つに決めようとして止まってしまうことです。創業相談は、総合相談、融資相談、税務相談、許認可相談のように分けて使ってかまいません。
もう1つのつまずきは、「無料相談だけで全部解決する」と考えてしまうことです。無料相談は入口として有効ですが、契約書、税務判断、法人設立、許認可、労務設計などは、専門家に依頼したほうがよい場合があります。
また、相談内容を整理しないまま行くと、一般的な制度説明だけで終わりやすくなります。事業概要、創業予定地、創業予定日、相談したいこと3つを持っていくだけでも、相談の深さは変わります。
次はワークシートをまとめて使う
相談窓口を選んだら、次はこれまでのページで作ったワークをまとめて使える形にします。
創業計画書や融資相談では、考えた内容がページごとに散らばっていると使いにくくなります。次の「ワークシート集」では、創業準備から融資相談までのワークシートを一覧化し、必要な順番で使えるように整理します。
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