創業準備ガイド

雇用に伴う保険は、名前が似ているため混乱しやすいところです。労災保険と雇用保険は労働保険の中にあり、社会保険は健康保険と厚生年金保険を中心に確認します。

このページでは、個人事業主や小規模な創業者が初めて人を雇う前に、3つの保険の目的、対象になりやすい条件、相談・手続き窓口を整理します。加入要否や手続きは事業形態、業種、従業員数、勤務時間で変わるため、実際には労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、社会保険労務士に確認してください。

このページでわかること

  • 労災保険、雇用保険、社会保険の違い
  • パート・アルバイトを雇うときに確認すること
  • 労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の役割
  • 保険料を人件費として見込む考え方

雇用の保険は労災・雇用・社会保険に分ける

人を雇うときは、まず3つの保険を分けて考えます。

労災保険は仕事中や通勤中のけがなどに備える制度、雇用保険は失業や育児休業などに関係する制度、社会保険は健康保険と厚生年金保険を中心とした制度です。

保険の種類制度の目的・必要な給付が行われるケース加入条件の入口相談・手続き窓口
労災保険仕事中や通勤途中のけが、仕事が原因の病気、障害が残った場合など1人でも労働者を雇ったら確認が必要労働基準監督署
雇用保険失業したとき、育児休業や介護休業を取得したとき、教育訓練を受ける場合など週20時間以上、31日以上の雇用見込みなどハローワーク
社会保険病気やけが、出産、老後の年金など法人、または一定の個人事業所で対象者を雇う場合年金事務所、協会けんぽなど

「アルバイトだから保険は関係ない」と決めつけないことが大切です。短時間でも労災保険の確認が必要になり、勤務時間や雇用見込みによって雇用保険や社会保険も関係します。

労災保険は1人でも労働者を雇ったら確認する

労災保険は、仕事中や通勤途中のけが、仕事が原因の病気などに備える制度です。

厚生労働省は、労働者を1人でも雇用していれば労働保険に加入する必要があると案内しています。週1回だけのパートやアルバイトであっても、労働者として雇うなら確認が必要です。

確認すること内容
労働者を雇うかパート、アルバイト、短時間勤務を含めて確認する
いつ雇うか雇入日を基準に手続きを確認する
どこに相談するか事業所所在地を管轄する労働基準監督署
保険料の負担労災保険料は原則として事業主が負担する

創業者本人や個人事業主自身は、通常の労災保険の対象とは扱いが異なります。事業主自身の補償は、特別加入など別の制度を確認します。

雇用保険は勤務時間と雇用見込みで判断する

雇用保険は、労働者が失業した場合などの給付に関係する制度です。

厚生労働省は、雇用保険について、適用基準を満たす労働者を雇い入れた場合には、事業主がハローワークへ届出を行う必要があると案内しています。代表的な入口は、31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上あるかどうかです。

確認すること見る理由
31日以上の雇用見込み雇用保険の対象判断に関係する
週20時間以上の所定労働時間パート・アルバイトでも対象になる場合がある
雇用契約の内容契約期間、更新見込み、勤務時間を確認する
手続き先事業所所在地を管轄するハローワーク

雇用保険は、スタッフ本人の将来の給付にも関係します。対象になりそうな場合は、早めにハローワークで確認します。

社会保険は法人か個人事業かで入口が変わる

社会保険は、主に健康保険と厚生年金保険を確認します。

日本年金機構は、すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員を使用する一定の個人事業所について、健康保険・厚生年金保険への加入と資格取得届の提出が必要だと案内しています。個人事業主の場合は、業種や人数によって扱いが変わるため注意が必要です。

事業形態確認すること
法人役員だけの場合も含め、社会保険の要否を確認する
個人事業主で常時5人以上強制適用事業所に該当するか、業種を確認する
個人事業主で常時5人未満任意適用や国民健康保険・国民年金の扱いを確認する
パート・アルバイト労働時間や賃金など加入要件を確認する

社会保険は、給与から控除する本人負担分だけでなく、事業主負担分もあります。採用前に、実際の人件費として見込む必要があります。

パート・アルバイトは働き方で対象が変わる

パートやアルバイトは、雇用形態の名前だけでは判断できません。

保険の対象になるかは、労働者性、勤務時間、雇用見込み、事業形態、従業員数などで変わります。「アルバイトだから不要」ではなく、実際の働き方で確認します。

働き方特に確認する保険
週1日だけ短時間で働く労災保険
週20時間以上、31日以上の見込み労災保険、雇用保険
正社員に近い時間で働く労災保険、雇用保険、社会保険
法人でスタッフを雇う社会保険も早めに確認

採用予定者ごとに、勤務日数、週の勤務時間、雇用期間、給与見込みを一覧にすると相談しやすくなります。

手続き先は労基署・ハローワーク・年金事務所に分かれる

雇用に伴う保険は、手続き先が1か所ではありません。

労災保険や労働保険は労働基準監督署や都道府県労働局、雇用保険はハローワーク、社会保険は年金事務所が主な確認先になります。創業直後は、この窓口の違いだけでも混乱しやすいため、先に分けておきます。

確認したいこと主な相談先
労災保険、労働保険の成立手続労働基準監督署、都道府県労働局
雇用保険の加入手続ハローワーク
健康保険・厚生年金保険年金事務所、協会けんぽ
実務全体の整理社会保険労務士

制度の窓口が分かれているため、採用前に 創業に伴う届出 と一緒に確認します。

保険料は給与以外の人件費として見込む

人を雇うときは、給与額面だけで人件費を見ないようにします。

労働保険料、社会保険料、給与計算の手間、勤怠管理、税務手続、教育時間も含めて考えます。社会保険に加入する場合は、事業主負担分が資金繰りに影響します。

人件費として見るもの内容
給与時給、月給、手当、割増賃金
労働保険料労災保険、雇用保険に関係する費用
社会保険料健康保険、厚生年金保険の事業主負担
管理コスト勤怠管理、給与計算、届出、年末調整
教育時間教える時間、マニュアル作成、研修

採用前に人件費を見込む考え方は、初めて人を雇う前に確認したい労務手続と社会保険料 で詳しく確認できます。

まず雇用予定表で対象を確認する

保険の確認は、従業員ごとの雇用予定表を作ると進めやすくなります。

書き出す項目メモ
氏名または募集枠
雇入予定日
週の勤務時間
雇用期間の見込み
月額賃金の見込み
労災保険の確認
雇用保険の確認
社会保険の確認
相談先

表にすると、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、社会保険労務士へ相談するときに説明しやすくなります。

次は雇用主が守る法律の全体像を見る

3つの保険を確認したら、次は雇用主が知っておきたい主な法律を整理します。

法律名を丸暗記する必要はありませんが、労働条件、最低賃金、契約、安全衛生、労災、雇用保険が、それぞれ何を守るためのものかを知っておくと、相談先を選びやすくなります。

次のページへ進む:雇用主の法律

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